身代わり少女は主人を慕う
案の定、人買いはこの場所に来た。

「おい、そこの奴。田舎娘を見なかったか?」

「田舎娘?」

私はガクガクと体を震わせながら、人買いが去るのを待っていた。

「知らないな。」

「てめえ、庇うと痛い目にあうぞ。」

「知らないものは、知らないよ。」

しばらくの間沈黙が流れ、やがてしびれを切らした人買いは、森の中へと消えて行った。

「もう行ったよ。」

その人の言葉をきっかけに、私はほっとして、腰を抜かしてしまった。

「おっと、大丈夫か?」

その人は、私の顔を覗くと、ニコッと笑った。

「あ、ありがとうございます。」

「どういたしまして。」
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