身代わり少女は主人を慕う
「あ、あの……」

こんな時に言うのもなんだけど、どうせだったら、腰を抜かしている今がいい。

「私、お礼をしようにも、銭を持っていなくて……」

「銭なんか、いらないよ。」

「それなら、あの……この体で……」

その瞬間、その人はプーッと噴き出した。

「はははっ!すごい事言うね。君はまだ少女じゃないか。」

「えっ……でも、これでも人買いに売られるくらいは……」

「ああいうのはね。最初から男の相手なんて、させないよ。それに安心してくれ。僕は、少女趣味じゃない。」

「はあ……」

その人と話していると、不思議に気持ちが和んできた。

「その代りと言っちゃあ、何だけどね。明日になったら、僕に付いて来てくれないかな。」
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