身代わり少女は主人を慕う
「えっ……」

ついて来いって、もしかして……

また、怪しいところに売られるんじゃあ……

「はははっ。これも安心していいよ。行くのは、僕の屋敷。ちょっと君に頼み事したいんだよ。」

「頼み事……」

まだドキドキしながら私は、その人の目を見た。

お母ちゃんが言ってた。

目の綺麗な人は、嘘をつかないんだって。

「……分かりました。」

「ありがとう。」


その日の晩は、こうしてその人と一緒に、森の中に野宿をした。

名前を知らない人に、ついて来いって言われて、承諾するなんて。

お父ちゃんとお母ちゃん、幼い兄妹を思い出して、私は泣きながら眠りについた。
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