身代わり少女は主人を慕う
「逃げよう。」

「はやて……」

「今なら、まだ間に合う。俺と一緒に、村を出よう。」

私の目から、涙が零れた。

「俺、うたがそんな目に遭うなんて、耐えられない。」

「でも、村を出たって……」

「二人なら、生きていけるよ。今夜、ここで落ち合って、それこそ街へ行こう。」

はやての真剣な目に、私も嬉しさが込み上げてきた。


はやてとだったら、幸せに暮らせるかもしれない。

でも……


「そんな事したら、家族はどうなるの?」

「うた……」

「ごめん。はやての気持ちは嬉しいけれど、家族に迷惑をかけたくないの。」

そうして私は、はやてから手を放した。
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