身代わり少女は主人を慕う
次の日の昼頃に、人買い達はやってきた。

「よく眠れたかい?お嬢ちゃん。」

人買いの男は、どこにでもいそうな、商い人だった。

「ほら親父。手付金だ。」

人買いは、小さな袋を一つ、お父ちゃんに手渡した。

思ったよりも、銭は入っていない。

私は、人買いの前に立ちはだかった。


「あれだけ?」

人買いは、チッと舌打ちをした。

「まあ、これだけ器量よしの娘なら、もう一袋出してもいいな。」

そう言って、胸の中から銭の袋をもう一つ出した。

「親父。後の銭は、娘が売れてからだぜ。」

「はい。」
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