身代わり少女は主人を慕う
「そうなんだ。」

なんだか、残念な気分。

でも、考えてみれば、私、家への帰り道なんて知らなかった。

そう言う意味では、志麻さんに迎えに来て貰って、よかったのかな。


「それでは、行きましょうか。」

「はい。」

私と志麻さんは、大通りを歩き始めた。

「お帰りの際は、この大通りを真っすぐ歩いて下さい。」

「はい。」

「そうすれば、久保利の家は見えて来ますから。」

「なるほど。」

これは田舎育ちの私でも、直ぐに覚えられそう。


「今日の授業、如何でしたか?」

「そうね。何も分からなかったけれど、面白かったわ。」

「はあ。勉強が面白いだなんて。変った方ですね。」

志麻さんにそう言われると、勉強ってあんまり面白くないんだと、思ってしまった。

「それにしても、奥様がついていらして、驚きましたね。」
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