身代わり少女は主人を慕う
心から、嬉しい。

まさか、同じ想いを抱いていたなんて。

その時、ガサガサと言う音が、近くでした。

「人が来る。名残惜しいけれど、今日の言葉は、嘘じゃないから。」

「はい。」

そう言うと、将吾様は私の手をそっと放して、闇の中に消えてしまった。


戻して手に、将吾様の温もりが残っている。

『僕は、うたが好きだ。』

嘘じゃない。

将吾様は、そう言ってくれた。

だから、私も信じる。

少なくても、ここにいる間は、一生懸命生きよう。


そうだ。

今なら、障子の影から将吾様を、見る事ができるかもしれない。

私は、急いで反対側に向かって、障子を開けた。

案の定、裏口から戻った将吾様が、お帰りになったところが見えた。

将吾様、無事に帰って来たんだ。

よかった。
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