眠りにつくまで






週明けなのにお兄ちゃんに仕事の指示をもらっていないので何をすればいいのかわからない。棚からカラーセラピーの本を2冊取り出して席へ座りしばらくすると

「ただいま、光里」

まだ出張へ出て1週間経っていない聖さんがスーツケースを持って…

「…帰って来た?」
「うん、帰って来た」
「お仕事は?」
「この世で一番大切な女性とそのbabyに会いに帰ると言って切り上げてきた」
「大丈夫?」
「光里は自分の心配しなきゃね…体調は?」
「うーん、こんなものかなって感じ。特別悪くはないけどちょっとダルいかも…くらい」
「無理はダメだよ?」
「うん」
「ママ、おめでとう…光里」
「…ママ…ありがとう…聖さんはパパおめでとうだね」
「すごく嬉しくて…浮かれてる」

そう言った彼は私をそっと抱きしめ

「優しく抱きしめないとね…」

と呟き私の頭に唇を落とす。

「一緒に眠れないときも愛してた…今もとても愛しくて…明日はもっと好きになるよ、光里。そこへ宝物が増えるんだ…震えるような幸せに包まれてるよ、俺」
「ありがとう…今夜、こうして眠るまで抱きしめて欲しい…」
「もちろん。朝までずっと」


[本編完結]
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