眠りにつくまで






「母親って言っても…やっぱりお腹にいるときと、こうして世話をするのは違うよね。お互いに声を掛けてその声を聞いて…」
「ふっ…光里は聖斗が泣く声を声掛けだと思えるのか?」
「そうだと思ってる。今の聖斗の言葉だろうって思うから」
「いいママだね、光里」
「…まだ今からどうなるかわからないけどね…聖さんがいるから大丈夫な気がする」
「嬉しいねぇ…このまま抱っこで寝る?」
「ベッド…聖さんも横になって」

再び光里を抱き上げて一緒にベッドに入る。

「来週、1ヶ月健診のあと秋元さんにお礼に行きたいんだけど…」
「そうだね。光里の入院中に俺だけ行ったけど、来週聖斗も一緒に行こう」
「うん。とても感謝してるの」
「本当によく声を掛けてくれたよね。送ってまでくれて」
「珈琲のトラックの人と秋元さんって頭の中で繋がった時には車に寝転がってたの」
「俺もトラックの人は顔を知ってたし、奥さんと子どもが一緒のときに会ったこともあるんだけど、あの人たちが夫婦っていうのは年末に礼に行って初めて繋がった」
「…そうだよね」

少し返事のテンポが遅れた光里はもう寝るだろう。また2時間ほどで起こされるんだ1秒でも早く眠って欲しい。

「おやすみ、光里…頑張っている体を少し休めて」
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