我が身可愛い大人たち

 そういえば、成人式後に開催された同窓会の締めくくりの言葉は、『次はまた十年後に』だった。あれからもう十年が経つのか。

 雅巳は感慨に浸りつつ、参加に〇をつける。

 お互いにもう三十。今なら、美鳥に会ってもきっと動揺しない。たとえ彼女が雅巳を忘れていたとしても、必要以上に傷ついたりしない。

 そう思えたからこその、参加の判断だった。

 ――しかし。

『あ、直江くんだよね! 私、梓沢だけど覚えてる? 全然変わってないね』

 十年前と同じホテルの宴会場。彼女がいなかったあの時はくすんだ印象に思えていたのに、美鳥に声をかけられたその瞬間、雅巳の目に映るすべてがパッと華やいだ。

 振り向いた先にいた美鳥は、スタイルのよさが際立つオフショルダーのパンツドレス姿。

 艶めかしくむき出しになった肩を一瞬だが食い入るように見つめてしまい、雅巳はハッとして美鳥の顔に視線を移す。

『あ、ああ。もちろん覚えてる。綺麗になったな』

 大人になった雅巳は、こうしたセリフも扱えるようになっていた。もちろん、美鳥の前で口にするのは特別な緊張を伴ったが。

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