Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
男はしつこかった。

だからつい言葉が零れた。


「本当にいいから!
私はあんたみたいな不良とは違うから!」


言った後に、こういう言い方はよくなかったと気付いたがもう言ってしまった後では取り消せない。

面白がっていた男は、私の言葉でスッと顔つきが変わる。


「…お前、キモいな」


男はまるで唾を吐き捨てるように言葉を吐き捨てた。


「お前みたいな人のナリで判断する奴見るとぶっ殺したくなる」


私は男が向ける殺意に恐怖で足が竦んで動けないでいた。

逃げなきゃ。

本能がそう言っている、でも逃げれない。


「失せろ、クソ女」


男の目は完全に殺意に満ちた目だった。

それでも私は逃げたくなかった。
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