Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「話しかけてきたのは、あなたのほうでしょ」

「…あ?」

「そこまで怒らせるようなこと言った?
不良に不良って言ってなにかいけない?」


足は立っているのもやっとなほど震えている。

なのに、言葉が考えるより先に口から洩れる。


「あんたらはちょっと喧嘩が出来るくらいでデカい顔して、夜中に暴れ回ってるんでしょ?」


カバンを握る手が強くなる。

目頭が熱くなってなぜか泣きたくなった。


「あんたらみたいな普通な道から外れた奴らは、気付かないんだ。
誰かの大事なものを簡単に奪ってることに」


…待って、何言ってるの?私。

なんで初対面の人に、自分の私情持ち込んで一方的にこんな話……。


「お前…」

「ごめんなさい、今のは違うから!
私のただの…八つ当たり」

「…は?って、おい!」


私はそう言うと背中を向けて、全力疾走で走って逃げた。

朝から急に走ったせいか、それともただ単に自分に体力が無いのか分からないが、すぐに息が乱れて足を止める。


「はぁ…はぁ……何やってんの私」


あまり人が通らない小道で息が整うまで膝に手を当て休憩していたが、あまりにも息が整わない自分に可笑しいと感じ始めた時、ガクンと崩れるように膝が地面につく。

あれ…?

その瞬間立っていられずに地面に倒れ込む。

地面から一気に視界が空へと変わる。

体が動かない。

グワングワンと歪む空を眺めながら遠のく意識の中、私は思い出していた。

お姉ちゃんが家を出て行った時のことを────
< 21 / 401 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop