Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「綺月」
名前を呼ばれ振り返ると、お姉ちゃんと菜穂が立っていた。
「ありがとう、カオルを見つけてくれて」
「綺月がいてよかった」
二人は私にそう言う。
それに私は首を振った。
違う、ありがとうとお礼を言うのは私のほうだ。
「今、やっと分かった気がする」
お姉ちゃんがここにいる理由も、菜穂が彼らとずっと仲間でいる理由も、全部分かった。
彼らは、仲間を心から大事にしてる。
ケンカや暴力が許される世の中ではないけど、子供みたいに海ではしゃいで、毎日お祭りのように飲んで騒いで、仲間がいなくなったらみんなが全力で探すような、そんな場所は今彼らにとってはここしか無いのだ。
つい口走ってしまったとはいえ、私が最初にAgainの溜まり場に来て、吐いた言葉は最低だった。
"ケンカしか脳のないクズ"
そんなことはもう一度だって思わない。
「お姉ちゃんを助けてくれたのが彼らで良かった。菜穂がAgainのメンバーで良かった」
私は泣きながら笑って言った。
「みんなに出会って良かった」
みんなに出会えなかったら、カオルに出会わなかったら、私はまだあの冷たい家の中でずっと孤独だった。
お姉ちゃんと向き合うことも、母に本音を伝えることもなかった。
私がスッキリした顔で伝えると、お姉ちゃんは驚いて目を丸くした。
「私こそありがとう、またお姉ちゃんって呼んでくれて」
お姉ちゃんは私の手を取りギュッと握る。
「ねぇ、提案があるんだけど」
「ん?」
私は涙を乱暴に服の袖で拭うと、楽しそうに笑う。
私の笑顔を見て、つられるように二人も首を傾げながら笑った。