Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「悪い、最近歯止め効かねぇわ」

「ゆっくりでって言ったじゃん」

「すまん、悪かった、大分調子に乗った」

「せっかく畳んだ洗濯物もぐちゃぐちゃになっちゃったじゃん」

「悪かったって、俺が畳み直すから」

「何回教えてもカオル下手じゃん、畳むの」

「おい、出来てるだろ、綺月が厳しすぎなんだよ」


カオルは申し訳ないと思ったのか、ぐちゃぐちゃになった洗濯物を私の熱血指導のもとまた畳み直した。

畳み終えたところで、奈都が「良い湯加減じゃった」とオッサンみたいなことを言いながらお風呂から上がってきた。

この日はカオルのキスの感触がまだ残ったまま私は眠った。

その頃、カオルは一人で冷たい夜風に当たりながら、高ぶった欲求を必死で押し殺していた。


「我慢がそろそろしんどいな」


カオルがぼやいた独り言がもちろん眠っている私には聞こえるはずがなかった。
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