Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「別にいいじゃん、カイは女の家を転々としながら暮らしてるんだし」

「言い寄られるとうざい」

「うわっ、どんな身分よ」


海斗の発言に菜穂があからさまに嫌な顔をして引く。

そんな会話をしている内に、帰る支度を済ませカオルのそばに寄る。


「海斗」

「あ?」

「お前は一生そうしてろ」


カオルは鼻で笑いながら捨て台詞を吐くと、私の手をとり部屋から出る。

バタンと扉が閉まる前に、滑り込むように海斗が「うっせぇ!死ね!」と怒鳴った。


「相変わらず口悪いな」


カオルは久しぶりにいつものメンバーに会ったことが嬉しかったのか、子供みたいな笑顔で笑っていた。

それが私にとっては見ていて微笑ましかった。

カオルを大事だと思ってくれる人に囲まれて、カオル自身も楽しそうに笑っているのが、自分のことのように嬉しかった。
< 375 / 401 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop