Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「緊張して動いてないと気が紛れないの」

「綺月が緊張してどうすんだよ、奈都の受験だぞ?」

「そうだけど!」


兄のカオルは至っていつも通りの朝を過ごしていた。

二人の落ち着き様に、なんだか場違いすぎて私は椅子に座って大人しくすることにする。


「じゃあ、そろそろ行くね」


朝ごはんを食べ終え、ついに家を出る時間になる。


「奈都、これやるよ」


カオルはポケットから取り出したものを奈都に渡す。


「…御守り?」


合格祈願と書かれた御守りを見て、奈都が目を見開いて驚く。


「まぁ、神様なんか信じてねぇし、奈都なら絶対合格すると思ってるけど、念の為な」

「お兄が買ってきてくれたの?」

「他に誰が買うんだよ」


奈都は本当に嬉しそうな顔で御守りを握り締める。
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