Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「俺に出来ることと言ったら、それくらいしか無いしな」

「そんなことないよ!」


奈都は間髪入れずにカオルの言葉に否定する。

それにカオルは優しそうに笑って、奈都の頭を撫でる。


「頑張って来い」

「うん!行ってきます!」


初めて会った時の自信のなさげな昔の奈都と比べると、今は清々しいくらい自信に満ち溢れていた。

まだ試験も始まっていないのに、なぜか大丈夫だと確信した。


「綺月、今日学校休みなんだろ?」

「うん、試験で学校使うからね。
カオルは夜から工事現場のバイトだっけ?
お昼は寝るよね、私溜まり場にでも行こうかな」


使った皿を洗おうと私が袖を捲っていると、カオルが近寄って来る。


「ん?」


何も言わず私のことを見つめるカオルに首を傾げる。
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