Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「海斗、お前何も分かってねぇよ」

「……なにが」

「綺月がどういう人間なのか、美月しか見てないお前には一生分かんねぇよ」

「お前、あの女に惚れてんの?」

「……は?」

「気持ち悪っ」

「おい、また蹴られたいのか?」

「ちょっと!もうやめてよ!」


私はまた始まりそうなケンカにうんざりしながら、カオルとカイの頭を思いっきり叩いた。

この日から、美月さんは溜まり場に顔を出すことが極端に減った。

そして綺月も、テストの順位を落としてから勉強にいっそう時間を費やすようになり、二人は時間が経つにつれ、どんどん距離が遠ざかっていた。
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