超絶イケメンな幼なじみに、めちゃくちゃ愛されちゃってます♡


 そのせいで、

「あの~」

「あの~」

「あの~」

 断わっても断わっても、入れ替わり立ち代わり、何度も声をかけられた。

 そのたびに、さっきと同じ言葉で説明をしなくちゃいけない。

 もういっそのこと、

『俺、彼女を待ってるんで、声をかけるのをやめてもらえますか!? 花火は彼女と見に行きます!』

 ……って、大声で叫びたい。

 でも、ここで叫んだら、俺の負け。

 って、なにに負けるのかよくわからないけど。

 俺が藤城王河だってバレて、パニックになる予感は大。

 だからここは、ひたすら耐えて、乃愛が来るのを待つしかない。

 今、何時だ?

 小さく息を吐き出し、腕時計に視線を落とす。

 17時15分か。

 よし、あと少しだな。
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