超絶イケメンな幼なじみに、めちゃくちゃ愛されちゃってます♡


『……っ、もぉ』

 恥ずかしさをこらえるように、一瞬ぎゅっと強く目をつむってから、乃愛は俺の差し出したスプーンをパクッと小さな口に入れた。

『あー、間接キス』

 すかさず、そんな言葉を乃愛にかける。

 もちろん、“キス”って言葉で、俺を意識してほしいから。

 俺が乃愛にドキドキしているように、乃愛にもドキドキしてほしい。

『……っ!?』

 目論見通り、俺の言葉に驚く乃愛。

 少しはドキドキしてくれたかな。

 なーんて、ガキでもあるまいし、無理だよな。

 あ、そういえば……。

『って、からかわれなかった? 子供の頃』

 昔、俺が食べていたアイスを乃愛にも食べさせてあげたら、周りにはやしたてられた。

 “あー、王河と乃愛ちゃん、間接キスー”って。

 “なんだよー、そんなんじゃねーよー”とか言いながら、実はうれしかった俺は、その言葉が聞きたくて、その後も何度も何度も乃愛に食べさせた。

 ……って、なつかしいな。

 その頃から俺は乃愛にベタ惚れだったな。

 子供の頃を思い出してクスクスッと笑いながら、俺は乃愛の手にあるメロンゼリーをすくって自分の口に入れた。

『ん、こっちもうまい。乃愛、もうひとくち』

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