お見合い仮面夫婦の初夜事情~エリート裁判官は新妻への一途な愛を貫きたい~
「毎日、働きながら家事もして、至らない私をいつもフォローしてくれるんです。むしろ私にはもったいないくらいですよ」
柔らかい声色なのにしっかりとした意思の込められた口調だった。肩から伝わる温もりと叔母の反応にドキドキする。
「妻を立てて褒めてくださるなんて、優しいですね」
叔母はまったく気にする素振りはなく笑顔で返してきた。そこで私の従兄であり、叔母の息子家族がやって来たので話は中断する。
どうやらポニーに乗るため並んでいたらしい。お互いに軽く挨拶を交わしたあと、叔母たちは去っていった。
改めて大知さんとふたりになり、意図せず沈黙が舞い降りる。耐えられず私から口火を切る。
「あの、ごめんなさい。叔母はおしゃべりが好きであれこれ言っていましたが、悪気はないんです」
なにか言われたわけでもないのに、勝手な気まずさを感じて謝罪する。しかし大知さんの表情はどうも渋い。
「千紗が謝る必要はないだろ」
「そうかもしれませんが……」
あきれた面持ちで、大知さんはため息をついた。
「身内に対する謙遜はある程度理解できるが、さっきのは度を超えている。いちいち姉妹で比較する必要はまったくない。失礼だ」
理路整然とした言い方は彼らしく、心にすとんと落ちてくる。だから私も自分の気持ちに素直になれた。
「ありがとうございます。……私、本当はお姉ちゃんと比べられて嫌でした」
どこかで事実だからしょうがないと言い聞かせ、反論せずやり過ごすのが一番だと思っていた。
柔らかい声色なのにしっかりとした意思の込められた口調だった。肩から伝わる温もりと叔母の反応にドキドキする。
「妻を立てて褒めてくださるなんて、優しいですね」
叔母はまったく気にする素振りはなく笑顔で返してきた。そこで私の従兄であり、叔母の息子家族がやって来たので話は中断する。
どうやらポニーに乗るため並んでいたらしい。お互いに軽く挨拶を交わしたあと、叔母たちは去っていった。
改めて大知さんとふたりになり、意図せず沈黙が舞い降りる。耐えられず私から口火を切る。
「あの、ごめんなさい。叔母はおしゃべりが好きであれこれ言っていましたが、悪気はないんです」
なにか言われたわけでもないのに、勝手な気まずさを感じて謝罪する。しかし大知さんの表情はどうも渋い。
「千紗が謝る必要はないだろ」
「そうかもしれませんが……」
あきれた面持ちで、大知さんはため息をついた。
「身内に対する謙遜はある程度理解できるが、さっきのは度を超えている。いちいち姉妹で比較する必要はまったくない。失礼だ」
理路整然とした言い方は彼らしく、心にすとんと落ちてくる。だから私も自分の気持ちに素直になれた。
「ありがとうございます。……私、本当はお姉ちゃんと比べられて嫌でした」
どこかで事実だからしょうがないと言い聞かせ、反論せずやり過ごすのが一番だと思っていた。