お見合い仮面夫婦の初夜事情~エリート裁判官は新妻への一途な愛を貫きたい~
「そっか。旦那さんお忙しいって言ってましたよね。ご職業、なんでしたっけ?」

 なにげない問いかけに困っていると川島先生は、さりげなく話題を変えた。

「それにしてもご主人、よくこんなところに付き合ってくれましたね」

 その言い方につい顔を歪めそうなる。

「すみません。俺の場合、奥さんに一緒に行こうって行ったら、臭いしそんな子どもっぽいところは嫌だって言われて」

「先生、ご結婚されていたんですか?」

 内容よりも先にそこが気になって尋ねた。

「あ、正確には別れたから元奥さんなんです」

 返ってきたのはあっけらかんとした口調とは相反したもので、とっさに反応できない。

 目を瞬かせる私に川島先生は頬笑み、なにも言わず私の隣に腰を下ろしてきた。

「付き合ってはいなかったけれど、ずっと仲が良い女友達がいたんです。彼女も子どもに関わる仕事をしていて気が合うし、好きだった」

 唐突に川島先生は語りだし、目を瞬かせる。

「でも、結局彼女は俺の友達と結婚したんです。そのとき結婚式で元奥さんに声をかけられて、付き合ってとんとん拍子に結婚までいったんですが、すぐに上手くいかなりました」

 自嘲気味な物言いになんて返していいのかわからない。ただ、川島先生だってけっして結婚を軽く考えていたわけではないと思う。

『やっぱり結婚に夢や希望を抱いたらいけませんね』

『多少の憧れと勢いは必要よ。川嶋先生、まだ若いんだから大丈夫』

 萩野先生にしても川島先生にしても、夫婦を続けていくのは想像以上に大変なんだ。
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