お見合い仮面夫婦の初夜事情~エリート裁判官は新妻への一途な愛を貫きたい~
 元々異性が苦手な私は、なんとも思っていない相手から好意に近い感情を向けられると、つい逃げ腰になるところがあった。

 高校の頃、同じクラスの男子から告白され、きっぱりと断ったけれどその後もなにかと付きまとわれ想いを告げられるのを繰り返された。

 こちらはまったくそのつもりはないのに、クラスメートから囃し立てられ困惑した経験がある。

『お前、まったく脈なさそうじゃん』

『もう諦めたら?』

 ある日の放課後、彼が他の男子に私の件でからかわれながら話しているのを聞いてしまった。

『でも彼女欲しいんだよな。和田はそれなりに可愛いし、こっちの言うことを聞いてくれそうだから、ちょうどよさそうじゃん』

 彼の口から出た言葉に固まる。少なくとも彼は、私自身がどうしても好きというわけではなく、〝彼女〟という存在が欲しいだけなんだ。

 他の男子と笑い者にされ、少なからずショックを受ける。

 暗い顔で帰宅したら、大学生の姉が心配そうに声をかけてきた。

『どうしたの、千紗?』

『お姉ちゃん……』

 躊躇いつつ私は自分の身に起きた出来事を正直に話した。

『昔から千紗は押しに弱そうなところがあるからねぇ。男からしてみたら、都合がよさそうなそうな雰囲気があるというか』

 しみじみと呟かれ、肩を落とした。悲しいけれど否定できない。

 なんでだろう。姉は高嶺の花の存在だからか、中途半端に異性から声をかけられるのは私のほうが多い。

 私が悪い……のかな。
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