お見合い仮面夫婦の初夜事情~エリート裁判官は新妻への一途な愛を貫きたい~
「わかります。俺も酒を飲むなら誰かと一緒に飲みたいタイプなんですよね」

「あら、そうなの? なら川島先生、早く相手を見つけないと!」

 間髪を入れない萩野先生のツッコミは相変わらずだ。川島先生の質問の意図がわかり、私は改めて考える。

 もしも私が少しでもお酒を飲めるようになったら、お姉ちゃんみたいに大知さんの相手ができたら、大知さんは家でもお酒を楽しめるのかな。

「飲んでみたいなら、一杯だけでもどう? 初めて飲んだときは飲み方がよくなかったのかもしれないし」

 未練がましそうに飲み物のメニューをじっと見つめる私に萩野先生が声をかけてきた。

「でも……」

「もちろん無理強いはしないけれど、せっかくの機会だから。今日は私も川島先生もいるから介抱も送っていくのも任せて」

 茶目っ気交じりに提案され、私は笑みがこぼれる。

「じゃぁ、一杯だけ飲んでみます」

 萩野先生の言う通りかも。今飲んだら、また違うのかな?

 アルコール度数を考慮して果実酒のページからみかんリキュールのソーダ割りを選んだ。まずはジンジャーエールで乾杯し、その次に頼む。

 ある程度胃に入れてから飲むお酒は、まるでジュースのようだった。みかんの果肉が入っていて甘すぎず美味しい。意外と平気かもしれない。

 お腹も満たされアルコールが入ったのもあり、いつもより打ち解けた感じで会話も食事も楽しめた。

 結局、桃のリキュールを次におかわりをして二杯ほどお酒を飲んだ。
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