総長は、甘くて危険な吸血鬼
「彼氏に振られたとか?俺たちが慰めたげよっか、一緒に遊ぼうよ」
『…結構です』
相手が1人ならまだどうにかなったかもしれない。
でも、4人相手に囲まれては逃げる術もなく、心臓がバクバクと脈打っている。
「遠慮しないでさ、ホラ遊ぼーよ。お姉さん可愛いし」
無理やり腕を掴まれて必死に振りほどくけど、力強い手は離してくれない。
どうしよう…怖い…
こういう人たちがどこへ行くかなんて考えたら想像がつく、嫌だ、誰か…
「おい」
……!?
背後から聞こえた低い声。
その鋭さに、私を掴んでいた男が一瞬震えたのが分かった。
「…あ?なんだテメェ」
「俺の縄張りの中で俺を怒らせたらどうなるか、知らない訳ないよね?」
私を掴む腕が横から振り払われ、男は小さく悲鳴を漏らした。
その人影の方を見れば
そこにいたのは、叶兎くんだった。