総長は、甘くて危険な吸血鬼




「は?……待った、この顔どこかで…。も、もしや、White Lillyの………」

「おい、これ、やべぇって…」


叶兎くんの登場に、私に絡んできた男達の顔が一気に青ざめる。


「殺されたくなかったらさっさと消えてくれる?って言いたいとこだけどあいにくそういうの趣味じゃないからさー」


笑顔で男達に一歩ずつ近づいていく叶兎くん。

叶兎くんのこの、怒ってるけど感情を全部出してない時の表情、1番怖いと思う。

こんな表情向けられたら誰だって逃げたくなると思うんだけど、男達は圧倒されすぎて逃げるのも忘れて立ち尽くしている。



「だからさ。………今すぐ失せろ。次こいつに何かしたら、無傷じゃ帰れねぇと思え」



叶兎くんはさっき私の腕を掴んでいた男に距離を詰め、耳元で静かに脅すように言った。



「「「す、すいませんでした!!」」」



こういうのを間近で見てると、叶兎くんってこの界隈じゃほんとにすごい人なんだな……って認識させられる。



「大丈夫…?」



傘をさしていなかった私に叶兎くんはそっと一歩近づき、肩や額にかかる雨を遮るようにしてくれた。

冷たかった雨が止み、少しだけ温かさを感じる。



『……ありが、とう』



顔を上げられないまま呟いた。

叶兎くんに合わせる顔がなくて逃げてきたのに、その本人に助けられてしまった…


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