総長は、甘くて危険な吸血鬼
何で隠そうとするの…?
私の血が欲しいから、私を繋ぎ止めるため?
でも今更嘘ついたって、この目で見てしまったからにはその事実は変えられない。
『…さっき女の子と楽しそうに話してた…距離も近かったし血もあげてた』
「さっき…?…ってあれ見てたの?!」
『血が欲しいだけなら、“好き”なんて言わないでよ!』
こんなこと本人に言うつもりなんてなかったのに、どうしてか言葉が止まらない。
…だるいって思われるかな
でもこれじゃこの関係ももう…
泣くつもりなんてなかったのに、無意識に涙が込み上げてきて
こんなにショックを受けるなんて思わなかった。
「はー………」
叶兎くんは、呆れたとか怒っているというよりかは、どこかホッとした様なため息をついて少し言いずらそうに、口を開いた。
「それ………妹だから」
………………へ?
『え?!妹?!』
一瞬時が止まったような感覚になって
その瞬間、胸の奥にずっと重くのしかかっていた不安が、ふわりと軽くなる。