【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
じゃ、じゃあ……私の勘違い……?
『妹いたんだ…!?…ごめん、わたし、勘違いして…』
自分で勝手に見て、勝手に嫉妬して、勝手に誤解して逃げ出して、散々責め立てた。
……最悪だ。
あまりにも恥ずかしすぎて、さっきとは違う意味で叶兎くんの顔なんて見られない……!!
「いや…俺こそごめん。誤解を生まないように先に言っておくべきだった。顔、上げて?」
『う……無理です……』
俯いて縮こまる私の頬に、叶兎くんの大きな手がそっと触れた。
片手で優しく包み込むようにして引き上げられ、強制的に目線が合わされる。
その赤い瞳には怒りなんて微塵もなく、ただ愛おしそうに私を見つめていた。
「…俺が女の子と仲良くしてると思って、それでここまで逃げてきたの?」
逃げ場のない真実をズバリと突かれ、思考が一瞬停止する。
言われてから2秒。
私の顔面は火がついたようにブワッと熱くなった。
叶兎くんの言っていることは何一つとして間違っていない。間違っていないけれど……!
「それ、嫉妬してくれたってこと?」
『それは、その…ええと…』
流石に意地悪すぎる質問に、声が裏返ってしまう。
今までこんな感情を抱いたことなんてなかったから、どう誤魔化せばいいのか、どう振る舞えばいいのか全く分からない!
「否定しないんだ」
…!!
ねえ!もうわかってるならわざわざ聞いてこなくても良くない?!
叶兎くんってこういうとこあるよね…!?
「胡桃──」