総長は、甘くて危険な吸血鬼
「ねぇ、今失礼なこと考えてなかった?」
『へ、?!いや、何も?』
この…察しが良すぎるところはよくないと思う。うん。
「ならさっさと入ってきて。あー、お礼は血で良いから」
…あ、やっぱ前言撤回
結局血かい!
やっぱり最後は血が目的になるんだ!期待した私が間違ってた!
………でも
守ってもらう代わりに血を分ける、っていう条件だったはずだから…今私にお風呂なんて貸さなくたって血は手に入るはず…
私に気を遣わせないためにわざわざそう言った…?
「何、まだ何かあるわけ?それとも1人じゃ入れないの?」
『はっ、入れます!!!!』
「必死すぎ」
慌てて声を張り上げた瞬間、叶兎くんがふっと笑った。
私の濡れた髪の先に指先を伸ばして、滴る水をすくうように払う。
「だったら早く入ってきて。じゃないとここでさっきの話の続きする」
髪に触れられただけなのに、まだ鼓動が落ち着かない。
『…っわかった!行くから!』
誤魔化すように背を向け、熱を帯びる頬を抑えながら浴室へ向かった。