【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
「ねぇ、今失礼なこと考えてなかった?」
『へ、?!いや、何も?』
この…察しが良すぎるところはよくないと思う。うん。
「ならさっさと入ってきて。……あー、お礼は血で良いから」
…あ、やっぱ前言撤回。
結局血かい!
やっぱり最後は血が目的になるんだ!期待した私が間違ってた!
……なんて、憤慨しかけてハッと気づく。
私が叶兎くんに守ってもらう条件は『血を提供する』ということだった。
わざわざこんな風にお風呂を貸して気遣ってくれなくたって、私から血を吸うことなんていくらでもできるはずなのに。
私が変に申し訳なさや気まずさを感じないように、わざわざ意地悪なフリをして「お礼」なんて言い方をした……?
「何、まだ何かあるわけ?それとも1人じゃ入れないの?」
『はっ、入れます!!!!』
「ふ、必死すぎ」
慌てて声を張り上げた瞬間、叶兎くんがふっと笑った。
私の濡れた髪の先に指先を伸ばして、滴る水をすくうように払う。
「だったら早く入ってきて。じゃないとここでさっきの話の続きする」
髪に触れられただけなのに、まだ鼓動が落ち着かない。
『…っわかった!行くから!』
真っ赤になった顔を隠すように勢いよく背を向け、熱を帯びる両頬をバスタオル越しに必死で押さえながら、逃げるように浴室へと飛び込んだ。