【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ



えーー…拒否権は……?!

みんな何が何でも叶兎くんにコスプレさせたいらしく、私がやるなら叶兎くんもやるという流れが完成してしまった以上、私に拒否権なんて存在しないらしかった。


結局、うちのクラスの出し物は『コスプレカフェ』に決定した。

ただし反対派の意見も取り入れて、元々案に出ていた謎解き要素を部屋の演出に組み込み、販売するメニューには男子が希望していたたこ焼きも追加することになった。


これなら誰も文句が出ず、クラス全員が納得できる素晴らしい案。


…まぁでも。叶兎くんのコスプレ姿は、ちょっとだけ見てみたいかも……。



「じゃあ今日は材料調達と予算とスケジュール確認、それぞれ手分けして進めよ!」

「「はーい!!」」



クラスの文化祭リーダーである心音ちゃんを中心に文化祭の準備が始まった。

白星学園の文化祭はかなり有名らしく、毎年当日は外部からたくさんのお客さんが押し寄せるそうだ。

クオリティが高い分だけ準備期間も長く取られていて、今週の一週間はまるまる文化祭の準備時間に充てられている。



「胡桃、ちょっと来て」

『うん?』



作業の合間、叶兎くんに手首をちょんちょんと引っ張られ、教室の隣にある使われていない空き教室へと連れ込まれた。

中に入ると同時に、ガチャリとドアの鍵が閉められる。


そして振り返る間もなく、そっと力強い腕に抱きしめられた。

背中に回された叶兎くんの右手に、よしよしとあやされるように優しく頭を撫でられる。



『い、いきなりどうしたの…?ここ学校…』

「この後生徒会忙しくなるから充電させて」



叶兎くん曰く、文化祭の時期は生徒会が一番忙しい繁忙期らしい。


全校生徒の出し物の取りまとめや安全確認に追われるため、自分のクラスの準備にはほとんど顔を出せないのだとか。


< 118 / 406 >

この作品をシェア

pagetop