【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ


ここ数日、非通知設定で不気味な電話が繰り返し送られてきていること、出ようとしても怖くて出られないことを正直に打ち明けた。

事情を聞き終えた叶兎くんは真剣な表情になり、ひとまず今夜はスマホを預かってくれることになった。


そして、この非通知の電話の発信元がどこなのかも、明日『White Lilly』のルートを使って調べてくれるという。


………個人情報や発信元まで調べられるなんて、『White Lilly』って本当に何者なの……。


叶兎くんは画面に残された履歴を細かくスクロールしながら、眉をひそめた。



「この数の通知じゃ多分故意にかけてきてるね。…通話には、うん。出ない方がいい」

『分かった。色々とありが──』



その時。


──ゴロゴロゴロッ


夜空を切り裂くような雷鳴が響いた。

窓の外が一瞬、黄色く光に包まれる。


『ひっ…!』


悲鳴とともに、身体が弾かれたようにビクッと跳ねた。

次の瞬間、ザァァァッと雨脚がさらに激しさを増し、地鳴りのような轟音が部屋全体をガタガタと揺らす。


ど……

ど、どうしよう…………雷……っ



「胡桃?どうしたの?胡桃!?」



私いつもどうしてたっけ、どうやって過ごしてたっけ…!?



ダメだ、足も手も、急に震えて動けなくなってきた。

雷の音を聞くと、小さい頃からどうにも冷静でいられなくなる。


叶兎くんの声が遠くに聞こえた。

何度も経験したはずなのに、毎回どうしていいかわからなくなる。



「胡桃!」

『あ…叶兎く…』

「おいで」



気づけば、ぐいっと腕を引かれていた。


視界が回転し、私はそのまま温かいベッドの上へと引きずり込まれる。


冷え切っていた全身が、叶兎くんの包み込むような強く優しい体温にしっかりと包み込まれた。


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