【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ


「胡桃、俺のことだけ考えて」



外の轟音を遮るように、俺は胡桃の耳元にそっと手を添えた。

そしてそのまま、胡桃の唇へと自分の唇を重ねる。



『んっ…!?』


驚いた声と共に、かすかに吐息が漏れた。

触れた唇が熱くて、慣れないながらも頑張って応えようとしてくれるのが可愛くて、ついつい息をする暇を忘れる程に唇を重ねてしまう。


『はぁっ…っ』


やがてキスを緩めると、胡桃の小さく荒い呼吸が首筋にかかった。

その甘い吐息の熱さに、頭の奥で理性がミシミシと嫌な音を立ててきしむ。


……やばいな、これ……。


さっき胡桃が「好きな人と二人きりでいたら、意識しちゃうじゃん」なんてあまりにも可愛すぎる発言をした時から、俺の理性はかなりギリギリの限界ラインをさまよっていた。

油断したら、このまま押し倒して抑えがきかなくなりそう。




触れたい。

もっと深く胡桃の事を知りたい。



当然、俺も健全な男子高校生なので………恋人とそういう関係になりたいと考えないわけじゃない。


でも、別に俺はそういうこと目当てで胡桃と付き合ったわけじゃない。

自分の欲望を優先して焦り、大事な胡桃を怖がらせたり傷つけたりすることだけは、絶対に嫌だった。



ただこうして俺の腕の中で笑って、そばにいてくれればそれでいい。

誰よりも好きだからこそ、何よりも大事にしたい。



……俺が、一人の女の子に対してこんなにも深く温かい感情を持つ日が来るなんて。

昔の俺に言っても、絶対に信じないだろう。



好きだ。

どうしようもないくらい、胡桃のことが好きだ。



だから──どんなことがあっても、俺が命に代えても絶対に守り抜く。



俺は自分自身が思っているよりも何倍も、いや何百倍も、朝宮胡桃という女の子に惚れてしまっていた。





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