【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ


胡桃の血は、正直贔屓目なしに今まで飲んできた血とは比べ物にならないくらい美味しかった。

本人は純血と言っていたけど親が隠している可能性だってある。



もし胡桃が、稀少な『純混血』の人間だったとしたら……。


そんな人間と吸血鬼が交わす契約は、通常のそれとはまるで意味が変わってくる。

言葉で説明するのは難しいが、契約を交わした吸血鬼と人間は、常軌を逸した力を手に入れることになる。




朔がそれを狙っているのなら、この街がどうなるか…。

数年前、先代の総長が突如として失踪し、天羽朔が現総長の座に就いてからというもの、『BLACK SKY』は随分と荒れ果てた悪質な組織へと変貌してしまった。


朔……昔から仲は良くなかったけど…昔はここまで横暴で冷酷な奴ではなかったはずだ。


一体いつから、あいつはあんな風に狂ってしまったのだろうか。



……一応、俺が先に胡桃と契約を交わしてしまうという手もある。

ただ、契約にはそれ相応の重いリスクが伴うし、何よりこんな危機を回避するための手段として契約を交わすのも…胡桃の気持ちを無視して縛り付けるような真似をするのも嫌だった。







……けど。



ほんの数日後、この甘い選択を死ぬほど後悔する日が来ようとは。


この時の俺は、まだ知る由もなかった






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