【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
【side胡桃】
カタカタカタ、と何かの音が聞こえる。
…キーボードの…音…?
『……』
まだ重い瞼をゆっくりと開け、音のする方へとぼんやり身体を向けた。
視界の先、正面にあるシンプルなデスクに向かって、誰かが真剣な背中でパソコンに向かっている。
『……何で私の部屋に…叶兎くんがいるんだろう…?』
寝起きで頭の中がフワフワと霞んでいて、胸に浮かんだ疑問がそのままぽろりと口からこぼれ落ちていた。
「あ、起きた?おはよう、胡桃」
私が起きた事に気づいた叶兎くんがくるっと椅子を回転させてこちらに視線を向けた。
……あれ?待って。
そもそも私の部屋に、あんな立派なパソコンデスクなんてあったっけ……?
と、少しずつ頭が働いてきた私。
………。
段々と昨日の事を思い出してきて、
ぼーっとしてた目が一瞬で覚めた。
…………………穴があったら入りたい。
昨日の夜、雷に本気で怯えて叶兎くんの胸に飛び込んでしまった自分。
あんなに無防備に甘えてしまった自分を思い出すと、あまりの恥ずかしさに全身の血が頭に上り、顔が火噴くほど熱くなっていく。
『あの…昨日はご迷惑を……その…昨日の事は忘れていただいて…』
自分でも何を言っているのか分からなくなるくらい動揺してしまい、布団を必死に胸元まで引き上げた。
「迷惑なんて思ってないよ。頼られるの普通に嬉しいし」
叶兎くんが良くても私は大丈夫じゃないです!!
雷で怖がるとか、小さい子じゃないんだし…
「あと、可愛い胡桃の姿見れたし」
『な…』
「いつでも頼ってよ。俺の彼女なんだから」