総長は、甘くて危険な吸血鬼
『…はぁっ…もう、叶兎くんいきなり何するの…!』
やっと叶兎くんが唇を離してくれたので、息を整えながら抗議した。
叶兎くんはというと全く息を切らしてなくて余裕そうでちょっとムカつく。こんな時まで完全に叶兎くんのペースだ。
まぁ、そんなとこも好きなんだけど……
「風邪薬飲ませただけだよ?」
涼しい顔で言われて、机の上の薬の箱に目がいく。
風邪薬…?
そういえば何か飲んだ気がするけど…
………いやいや、薬くらい自分で飲めますけど……?!
『……風邪うつっても知らないからね』
「吸血鬼は風邪ひかないからご心配なく」
何その設定!羨ましい!
もう一回する?とでも言いたげな笑顔で叶兎くんはこちらを見てくる。
なんだそれ、ずるい。
『しません!』
「そっかー残念」
残念〜…じゃないのよ、
これでも私病人なんだから…
「ま、ゆっくり寝ると良いよ。胡桃が寝るまではここにいるから」
『生徒会の仕事は?』
「春流達にも手伝ってもらってるから平気だよ…多分。だから余計な心配しなくていいの」
多分て…
でも、もっと頼ってほしいって言われちゃったし…こういう時くらい甘えてもいいかな。
だって、叶兎くんがそばにいてくれるだけで、体の力が抜けるように安心する。