総長は、甘くて危険な吸血鬼
「それにしても、あそこにいる2人の男の子達は大人気なのね」
『そうですね。生徒会長と副会長で吸血鬼ですし…、凄くカッコいいので』
視線の先を追うと、案の定、春流くんと叶兎くんのまわりには人だかりが出来ていた。
さっきまで女の子ばかりだったはずが、今では男子も混じって輪が広がっている。
「貴方は彼のことが好きなの?」
『えっ!?」
思わず裏返った声が出てしまった。
なのに女の人は楽しげに目を細める。
「ふふ、貴方今、恋する女の子の顔してたわ」
ど、どんな顔…!?
私ってそんなにわかりやすいかな
というか、なんでこんな話に…
「ね、どこが好きなの?」
好奇心に満ちた声。
女子高生が友達に恋バナをせがむみたいに無邪気にそう言われ、逃げ道をふさがれる。
彼女の前に座っている男の人はさっきから無言でコーヒー飲んでるけど。
そもそも知り合いでもないのに私の恋バナなんて聞いて面白いのか…?
『うーんと…』
でも私が答えるまで逃してくれなそうなので渋々答える事に。
叶兎くんの好きなところ…
『沢山あるけど…やっぱり、“真っ直ぐなとこ”…です』
「真っ直ぐなとこ?」
『…最初は、絶対仲良くなれないと思うくらい印象最悪だったんです。でも関わっていくうちに、どんな時でも真っ直ぐで、根は凄く優しい人だって知って。あんなにハイスペックなのに他人を見下したりしないし…』
言ってから、はっとする。
私、何を普通にペラペラと。
文化祭で接客してるだけのはずなのに、初対面の人にここまで語らされるなんて。
チラッと視線を向けると、女の人は嬉しそうに笑っていた。