総長は、甘くて危険な吸血鬼
「ふーん、そっかそっか〜」
その笑みは可憐で、まるでお人形のように綺麗で……でも掴みどころがない。
「ねえ湊、一体誰に似たのかしらね」
「お前だろ」
「いやいや、どう考えてもあなたでしょ?」
その女の人は、目の前の男の人を“湊”と呼んだ。
ただコーヒーを口に運んでいるだけなのに、その存在感は強い。
この2人、叶兎くんと知り合いなのかな?
「あの子が“真っ直ぐ”なんて、素敵な相手を見つけたのね」
「…そうだな」
この2人の視線の先にいるのは、間違いなく──叶兎くん。
その表情は、まるで…
「胡桃ちゃん、今度は叶兎と2人でうちへ遊びにおいで。待ってるわ」
あれ、私名乗ってないよね。
というか、うちへ遊びにって…?どういうこと?
2人は満足したかのように席を立ち、教室を出る前にもう一度、私に笑いかけた。
振り返った二人の瞳が光を反射する。
……!!
その、赤い瞳…!