総長は、甘くて危険な吸血鬼


「ふーん、そっかそっか〜」


その笑みは可憐で、まるでお人形のように綺麗で……でも掴みどころがない。


「ねえ(みなと)、一体誰に似たのかしらね」

「お前だろ」

「いやいや、どう考えてもあなたでしょ?」


その女の人は、目の前の男の人を“湊”と呼んだ。

ただコーヒーを口に運んでいるだけなのに、その存在感は強い。

この2人、叶兎くんと知り合いなのかな?


「あの子が“真っ直ぐ”なんて、素敵な相手を見つけたのね」

「…そうだな」


この2人の視線の先にいるのは、間違いなく──叶兎くん。

その表情は、まるで…


「胡桃ちゃん、今度は叶兎と2人でうちへ遊びにおいで。待ってるわ」



あれ、私名乗ってないよね。

というか、うちへ遊びにって…?どういうこと?

2人は満足したかのように席を立ち、教室を出る前にもう一度、私に笑いかけた。

振り返った二人の瞳が光を反射する。



……!!

その、赤い瞳…!

< 174 / 405 >

この作品をシェア

pagetop