総長は、甘くて危険な吸血鬼
やっと、全ての違和感の正体が分かった気がした。
その赤い瞳は叶兎くんと同じ色で、彼らは吸血鬼。
そしてさっきまでの会話内容。
……あの二人は、きっと。
叶兎くんの、ご両親。
だから、初めて会ったのにどこかであったことがあるような気がしたのだろう。
私は好きな人の親に、好きな人の好きなところを、あんなにペラペラと…
……これ、だいぶ公開処刑じゃない!?
とりあえず変なこと言わなくてよかった…
そんなことを考えながらテーブルの片付けをしていたら
トントン、と背中を叩かれて、
振り返ると、高校生くらいの男の子が隣の席に座っていた。
…注文かな?
『ご注文で──』
「ねぇ、くーちゃん」
“ご注文ですか?”、
そう聞く前に、彼の言葉に遮られた。
『……え?』
まっすぐに私を見て、懐かしむように微笑んだ。
…さっき私を、“くーちゃん”と呼んだ
この呼び方をする人を、私は1人しか知らない。
「久しぶりだね。僕の事、覚えてる?」