総長は、甘くて危険な吸血鬼
Whitelove3

誰にも渡さない



『さ、く…?』

「嬉しい、覚えててくれたんだ」

『え…ホントに朔なの…?』


私には昔、幼馴染がいた。
その人の名前は、天羽 朔(あまはね さく)

田舎に住んでいた私の、唯一仲の良い友達だった。


あれは、小学生3年生になったばかりの頃、
朔は突然姿を消した。

学校にも来なくなり、連絡も取れず、慌てて家まで行ってみたら、そこにはもう天羽家の痕跡すら残っていなかった。
まるで最初から存在しなかったみたいに。


『朔、…何であの時何も言わずにいなくなったの?今まで一体どこに……』

「…それは、ごめん。僕もあまりにも突然のことで、伝えるタイミングがなかったんだ」


…この人本当に朔なのかな、

昔は茶色だった髪が派手な金髪に変わり、雰囲気だってあの頃の優しい“幼馴染”からはかけ離れている。

でも、朔の特徴的な瞳を見間違えるはずがない。
向日葵みたいに明るくて、トパーズみたいな綺麗な色。


「でも、やっと会えた。君の事ずっと探してたんだ。家の事情がひと段落して会いに行こうと思ったらくーちゃん引っ越してるもんだから…」


会いに…きたんだ…

…確かに、私も朔がいなくなってから一度家の事情で別の町へ引っ越した。

当時の私は小さくて、あの突然の別れを受け止めきれなくて。
心のどこかで「きっと朔は私のことなんて忘れてる」と、ずっと思い込んでいた。


「ねぇ、僕と一緒に来てよ」


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