総長は、甘くて危険な吸血鬼
私が知ってる情報と朔が言った情報が全く違う、
朔を信じてない訳じゃないけど…
どう考えてもおかしい。
「……。」
私が拒否の言葉を口にした瞬間、
朔の笑顔がふっと消えた。
次の瞬間、無言で私の腕を掴み、強引に引き寄せた。
『ちょ、何いきなり…』
久しぶりに会えて嬉しかったはずなのに、まるで知らない誰かに腕を握られているみたいだった。
瞳も、昔みたいに明るく透き通ってなんかいない。
どこか淀んでいて、冷たくて、怖い。
この人、本当に朔…?
「出来れば手荒な事したくないんだけど。大人しくいうこと聞けよ。」
『っ…ねえ本当に朔なの?なんか…おかしいよ…?』
いきなり、朔の表情が変わった。
さっきまで優しく笑っていたはずの幼馴染の顔が、鋭く、獰猛な獣みたいに私を睨みつけていた。
振りほどこうと腕に力を込めても、びくともしない。
そのまま彼は私の腕に、
──牙を立てた