総長は、甘くて危険な吸血鬼
“これ以上居座るなら叶兎くんに連絡するよ” という無言の圧を込めると、二人の男は、面倒ごとに関わりたくないのか舌打ちしてすぐに退散していった。
さすがに二度もナンパされたら、私だってさっさと追い返そうという気になる。
「あっはは!胡桃ちゃんつよ!」
いつの間にか背後で見ていた流風くんが笑い声を上げた。
『流風くん、そこにいたならサクッと追い払ってくれたらよかったのに!』
「いやー途中で間に入るつもりだったんだけど、胡桃ちゃんがどう対応するのかなーって思って」
……いや、ナンパの対応に観察なんていらないから!
「あそうだ。凛、これから胡桃ちゃんと屋台で何か買って食べようと思ってるんだけど、一緒に行く?」
「……人混み…疲れた」
「んー、じゃあ俺が何か買ってくるから胡桃ちゃんここで凛と一緒に待っててくれない?」
「…うん」
『え』
凛ちゃんと、2人で?
2人で……???
私、叶兎くんの彼女だからって凛ちゃんに敵対視されてない…?大丈夫?
出会い頭に若干睨まれた事を思い出す。
「…あの」
流風くんが屋台の方に行った後、隣に腰を下ろすと小さな声で凛ちゃんは言った。