総長は、甘くて危険な吸血鬼


「あと……さっきから思ってたんですけど……何か甘い香り、しませんか? 香水?」

『香水はつけてないけど…』


そういえば、最初に叶兎くんに出会ったばかりの頃同じこと聞かれたような……。

……ま、まさか私ってそんな匂うの!?

自分ではわからないけど実はめちゃくちゃ何かが匂ってるんじゃないかと不安になる。


「……」

『り、凛ちゃん…?!』


いきなりずいっと顔を覗き込まれて、至近距離で視線が合う。

こう見るとやっぱり顔立ちが叶兎くんに似てるな。


「…一口いいですか?」

『………え?』


一口って、えっと…血?

…血をくれってこと?いきなり?!

別にダメというわけではないけど、何故、そんな流れに…


混乱している間に、凛ちゃんは両肩をがしっと掴んで、さらに距離を詰めてくる。


な、なんか……こういうところまで叶兎くんに似てる…!!強引!!

流石兄妹だな…なんて感心してたその時──


「ちょっと…胡桃は俺のだからダメ」

「あ、お兄ちゃん」


背後から叶兎くんの声がしたと思えば、そのまま後ろに肩を引っ張られて。

振り向くより早く、叶兎くんの影が私を包み込んだ。


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