総長は、甘くて危険な吸血鬼
「凪………」
「待て待て待て、俺は何もしてない」
じとー…っと凪を睨むと、弁明するようにそう言って
「っおい胡桃、疲れてるのか?叶兎はそっちだ」
胡桃の身体を抱え寄せ、俺の肩に預けさせる。
『んー…眠い…』
俺の腕にしがみついて擦り寄ってくる胡桃。
……いや、待て。
普段人前じゃくっついてこないしむしろ離れようとしてくるあの胡桃が、他のみんなもいる前で甘えてきている。
俺としてはものすっっっごく嬉しいけど様子が違いすぎて逆に心配。
というか何でさっき凪の方寄りかかってたの。
「大丈夫?疲れてるなら早めにお風呂入って寝たほうがいいよ。明日もあるし」
何だかそのまま熟睡してしまいそうな勢いだけど、このまま寝られても困るのでさっさとお風呂入ってこい!と促した。
胡桃はとろんとした目でこくりと頷き、ふらふらと浴場の方へ消えていく。
「胡桃ちゃんどうしたんだろう?」
「BSの事もあったし、疲れてるんじゃないか」
疲れてる…とはちょっと違うような気がしたけど…
疲れてたのかな?
今日は一日中凛と流風と学校中回ってたみたいだし、朔の件も…
グラスを手に取って飲み物を飲みながらそんなことを考えていると、何かがおかしいことに気づいた。
「…あれ?これリンゴジュース?」
胡桃に出したはずのジュースが、なぜか俺の目の前に。