【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
『……っ、離して!』
「…。」
精一杯抵抗して体をよじる。
強引に朔の身体を押し飛ばすようにして立ち上がると、牙を立てられた肩のあたりからじわりと暖かい血が滲んでいくのが分かったけど、そんな痛みを気にしている余裕なんてなかった。
『っ私、…帰るから!』
きっと今頃…みんな心配してる。
だから一刻も早く学園に戻りたい。
それに、私はここにいてはいけない気がした。
「帰る?どこに?」
『学園に帰るの!』
視線の先にあるドアを見る。
鍵はかかっていない……走れば、逃げられるかもしれない。
足に力を込めようとした、その時。
「ふぅん、…やっぱり僕のことなんてどうでもいいんだ?」
『え?、別に、そういう意味じゃ…』
そういう言い方をされるとなんて返したらいいのかわからなくなる。
別に、朔がどうとかそういう問題じゃない。
そもそも強引に連れてきたのはそっちでしょ…!
「…行かないで、」
掴まれた腕が熱い。
投げかけられたその声があまりにも弱々しくて、恐る恐る顔を上げると──朔がまるで捨てられた子供のような、切ない瞳で私を見つめていた。
………どうして、そんな目で見るの。