【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
「…ずっと…好きだった」
『え…?』
「くーちゃんのことが、好き」
真っ直ぐに放たれた告白に、私は一言も返せなくなってしまった。
何の根拠もない。
それでもまっすぐに私を見つめる朔の瞳を、嘘だとは到底思えなくて。
朔が……私のことを……好き……?
でも、そんなの、今まで一言も……。
「叶兎よりも…ずっと、ずっと前から君の事が好きだ。あいつのところになんか戻らないでよ」
『っ……なら……あの時何も言わずにいなくならないでよ…私だって…』
私だって、あの頃は朔の事が…。
胸の奥に押し込んでいた想いが、思わず口をついて出かける。
けど次の瞬間、吐き出すように続けてしまった。
『…それに、私じゃなくて血が欲しくて私を連れてきたんでしょ?』
「確かに血は欲しいけど、それは君の血だから…」
『私の意見なんて聞くつもりなかったくせに!』
思わず声を荒げてしまった。
再会を願っていたのに、その願いがこんな最悪な形で叶ってしまうなんて。
期待が一瞬で打ち砕かれた悔しさと悲しさで胸が締め付けられる。
…最初から私に、拒否権なんてなかった。
どれだけ言葉を飾っても、行動が示しているのは「血が欲しい」ただそれだけじゃん。
「…チッ、めんどくさ。」
一瞬だけ見せた柔らかい表情は一瞬で消え去り、朔の顔には冷酷で冷め切った仮面が戻っていた。
ぞくり、と背筋に恐ろしい寒気が走る。
…ほら、
私の事が好きなんて嘘ばっかり。