【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ




……ヤバい、バレた、どうしよう。

何か言い訳はないかと脳をフル回転させるけど何も思いつかない。

でもこれで朔のところに戻ったら今度は何されるか分からない…!



「胡桃?」



ていうかこの人誰…!

さっきから私のこと呼び捨てしてくるこの人。


茶色の長い前髪が目元までかかっていて顔がよく見えないけど、着ているのは黒の特攻服に水色の鮮やかな刺繍。


見たところ完全にBSの人間みたいだけど……。



『…私に、何か…?』

「何かって、逃げるんだろ?」

『…そう見えます?』



言い訳が苦しすぎる。

というかもはや言い訳にすらなってない。



「あ、そういうことか」



いや、どういうこと。


その人はポケットから携帯を取り出し、すぐに画面をこちらに向けてきた。

その画面に表示されていたのは“九条秋斗”の文字。

よく見ると、数時間前の私との通話履歴も表示されている。



この意味を理解するのに数秒かかった。

でも目の前にいるのはBSの服を着た知らない男…。



< 260 / 406 >

この作品をシェア

pagetop