【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ




「俺、九条秋斗だけど」


『……はい?』


自分を九条秋斗だと名乗る男を改めてじっと見た。


…九条くんってこんなに背高かったっけ?


でも確かに言われてみれば、この聞き覚えのある声は九条くんだ。



「ちょっと特殊な変装してるから知らねぇヤツに見えるかもしんないけど、俺だよ。……まあ、説明は後な」

『え、ちょ、ちょっと待って全く状況がわからな…』

「あーでもその前に」



九条くんが私の腕を取って立ち上がらせた。

状況が理解できずに困惑していると、九条くんはそのまま天音くんの方へと歩いていき──。



「っ…!……痛」



いきなり、容赦のない容赦のない強烈な拳を天音くんの頬へ直撃させた。



『く、九条くん!?』



目の前で起きた衝撃的な光景に驚きすぎて、思わず大きな声が出てしまい、ハッと慌てて口を押さえる。

こ、この部屋…壁薄いんだった。


殴られた頬を痛そうにさする天音くんの胸ぐらを、九条くんは強烈な力で掴み上げた。

けれど天音くんは、反撃する素振りすら見せない。



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