総長は、甘くて危険な吸血鬼
「俺、九条秋斗だけど」
『……はい?』
自分を九条秋斗だと名乗る男を改めてじっと見た。
…九条くんってこんなに背高かったっけ?
でも確かに言われてみれば、
この聞き覚えのある声は九条くんだ。
「ちょっと特殊な変装してっから知らねぇヤツに見えるかもしんないけど俺だよ。でも説明は後な」
『え、ちょ、ちょっと待って全く状況がわからな…』
「あーでもその前に」
九条くんが私の腕を取って立ち上がらせた。
状況が読めず困惑していると今度は九条くんが天音くんの方に歩いて行って
「っ…!……痛」
いきなり結構強めのグーパンチを天音くんの顔面に食らわせた。
『く、九条くん!?』
いきなり目の前で起きた光景にびっくりしすぎて
つい大声が出てしまい、ハッと口を塞ぐ。
この部屋壁薄いんだった。
殴られた頬をさする天音くんの胸ぐらに九条くんが掴みかかるが、反撃する様子もない。