【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
『止まっ…た…?』
目の前で起きた出来事を頭で理解するまでに数秒かかった。
周りにいたみんなも信じられないものを見るような目で、呆然と辺りを見渡している。
今の…もしかして、純混血の能力……!?
…でも、昨日はBSの人達には全く効果がなかったはずなのに。
「いま……洗脳が……解けた?」
桐葉くんが驚愕に目を見開いて呟いた。
九条くんも息を呑み、信じられないというように私を凝視している。
「昨日は簡単に効かなかったのに…」
みんなの驚きと困惑の声が交錯する中──私は胸元に温かい熱を感じてハッとした。
制服の襟元から覗くネックレス。
そこに吊るされた小さな金色の指輪が、ふわりと幻想的で淡い光を放っていることに気づいたのだ。
いま、私が放った一瞬の波動が、相手の能力を完全に打ち砕いた。
「……これが、契約の力。」
叶兎くんが静かな声を落とし、その瞳がまっすぐに私を射抜いた。
繋がった絆が、私の胸の奥で確かな『力』に変わっている。
叶兎くんは胸を撫でおろすようにわずかに口角を上げると、私の肩にポンと優しく手を置いた。
「蓮水の言った通り、胡桃なら…本当に朔を止められるかも」
淡い光を灯したままの指輪が、その言葉を証明するかのように静かに揺れていた。