総長は、甘くて危険な吸血鬼
『止まっ…た…?』
状況を理解するまで数秒かかって、周りにいたみんなも確認するように辺りを見渡した。
今の…もしかして、純混血の能力?
…でも、昨日はBSの人達には全く効果がなかったのに。
「いま……洗脳が……解けた?」
桐葉くんが呟いた。
九条くんも、目を見張って私を見る。
「昨日は簡単に効かなかったのに…!?」
驚きに息を呑んだその時…
胸元のネックレスに吊るされた小さな指輪が、ふわりと淡い光を放っていることに気づいた。
今、一瞬で相手の洗脳を打ち砕いた。
「……これが、契約の力。」
叶兎くんが静かに言葉を落とし、真剣な瞳が私を射抜いた。
自分の存在が繋がって力に変わっている。
叶兎くんはわずかに口角を上げ、私の肩に手を置いた。
「蓮水の言った通り、胡桃なら本当に朔を止められるかも」
淡い光を灯したままの指輪がその言葉を証明するかのように静かに揺れていた。