【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
「これは俺達全員の総意だ」
桐葉くんが静かに言葉を継ぐ。
普段は小言ばかりの桐葉くんも、天音くんの事を想い、助けたいと願っていた。
「今更無理だよ。俺は戻れない」
天音くんは刺すような冷たい視線をこちらに向け、自分自身の心を固く閉ざすように言い切った。
その頑なな態度に、ずっと後ろで話を聞いていた九条くんが一歩前へと踏み出す。
「事情を聞いてんじゃねぇ、お前自身の気持ちを聞いてんだよ」
「…だからっ!!戻る気はないって言ってんだろ!」
無理矢理喉から搾り出したような怒鳴り声は、張り詰めた空気の中にカツンと響いた。
それでも、声の奥には確かな迷いが現れている。
『…天音くん。前に、すごく優しい表情で“ここ(White Lilly)が好き”って話してたよね。あれは……天音くんの本当の気持ちなんじゃないの…?』
頑なに意志を曲げない天音くんは、黙ったまま。
『昨日だって、結局助けてくれたし。…私は転校してきたばかりで付き合いは長くないけど、みんなのこと大好きだし、天音くんの事だって今も仲間だって思ってる。みんな…天音くんが帰ってくるのを待ってるんだよ…!』
人質問題は、もう解決したはずだった。
なのに……どうしてそこまで頑なに拒絶するんだろう。
もしかして、私たちが知らないだけで、他にも何か言えない事情があるのだろうか。
私の言葉に天音くんが息を呑み、何かを言いかけた…その直後。
バァンッ……!! と激しい音を立て、部屋の扉が勢いよく開け放たれた。