総長は、甘くて危険な吸血鬼


「これは俺達全員の総意だ」


桐葉くんが静かに言葉を継ぐ。

普段は小言ばかりの桐葉くんも、天音の事を想い、助けたいと願っていた。


「今更無理だよ。俺は戻れない」


天音くんは冷たい視線をこちらに向け、心を閉ざすように言い切った。

1番後ろで話を聞いていた九条くんが一歩前に出る。


「事情を聞いてんじゃねぇ、お前自身の気持ちを聞いてんだよ」

「…だから、戻る気はないって言ってんだろ!」


無理矢理喉から搾り出したような怒鳴り声は、
張り詰めた空気の中、カツンと響いた。

声の奥には確かな迷いが現れている。


『…天音くん。前に、すごく優しい表情で“ここ(White Lilly)が好き”って話してたよね。あれは本心なんじゃないの?昨日だって私を捕まえたと思ったらその次は助けてくれたし。…私は転校してきたばかりで付き合いは長くないけど、みんなのこと大好きだし、天音くんの事だって今も仲間だって思ってる。みんな天音くんのこと待ってるよ、一緒に帰ろう!』


頑なに意志を曲げない天音くんは、黙ったまま、

人質問題はこちらで解決したつもりだったけど…
もしかして他にも何か事情があるのかな



その直後、勢いよく再度部屋の扉が開かれた。

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