総長は、甘くて危険な吸血鬼
『誰にでもじゃない、天音くんだからだよ。家族想いで、仲間想いな天音くんの事なら、私も知ってる。』
確かに天音くんにされた事を考えれば思うところはある。
…けど、それ以上に
今ここで天音くんを連れ戻さなかったら、もう二度と戻って来てくれない気がして。
このまま放っておいたら、
あの時みたいな笑顔は完全に消えてしまうんじゃないか
朔みたいに人が変わってしまうんじゃないか
そう思ったら、無視はできなかった。
『White Lillyのみんなといる時の天音くんはほんとに楽しそうだった。…今まで見て来た天音くんのことを、私は信じてる。もし協力できることがあったらちゃんと言って欲しい』
「……なんだよそれ。」
天音くんの瞳が、僅かに揺らぐ。
「じゃあ何、俺と付き合ってって言ったらどうすんの?」
……………え?
その唐突な言葉に、世界が一瞬静まり返った。
戦闘の喧騒が遠のき、天音くんの声だけが耳に入る。
いつもの冗談かと思ったけど、いつにも増して真剣な眼差しが真っ直ぐ私の中に響いた。
「俺、胡桃ちゃんの事好きなんだよね」
心臓を殴られたみたいに胸が強く跳ねて
何も答えられず、息を飲む。